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『続・ムシの考古学』

 

続・ムシの考古学

続・ムシの考古学

 

本書は、ムシを通して日本史を振り返ることができる、なんとも稀有な本だ。著者は金城学院大学薬学部講師の森勇一氏。少年時代に昆虫採集に没頭し、その情熱は現在まで続いている。本書は、そんな森氏のムシたちへの熱い思いが詰まっている。

 

続編ということは、当然前編もある。しかし、前編を読まないと内容が理解できないわけではない。これ一冊で充分に楽しめる。

 

本書の面白いところは、大正、明治、江戸、戦国時代と、現在から過去へとさかのぼりながら話が進められているところだ。大体の歴史の本は、過去から現在へと話が進んでいく。その逆を行くとは、なかなか斬新なアイディアだ。まあ、他にもそのような本はあるのかもしれないが。

 

本書で紹介されているムシのエピソードは、知らない話ばかりで、目から鱗が落ち続けた。古墳時代の遺跡から、潰れたヤスデが土器に混ざっていたのが見つかったとか、マークオサムシというムシの化石が、日本が氷期だった時の地層から発見されたとか。

 

唯一知っていたのは、ウンカによる享保の大飢饉の話である。享保の大飢饉は、ウンカというカメムシ目に属する体長4~5ミリの昆虫の飛来によってもたらされた。カメムシ目だが、実際はカメムシよりも、セミに似ている。このウンカが、中国から風に乗って日本に飛来し、イネというイネを食べつくしたのだ。

 

初めて見る虫がほとんどだったが、親切にも写真が載っており、読み進めるのに助かった。これは、前編で写真をあまり載せなかったことの反省が生かされたものだ。

 

可愛らしい(?)表紙とは裏腹に、内容がしっかりしている本だった。昆虫に特別興味がなくても、楽しく読み進められる本だと思う。